ビタミンC誘導体は、ビタミンCを誘導体化した物質です。
ビタミンCには優れた抗酸化作用があり、美白に高い効果があることは昔から分かってはいたのですが、とてももろく壊れやすい性質を持つ成分だったために、永らく効果的な化粧品が作れないという欠点がありました。
そこでビタミンCを変質させず、なおかつ有用性を失わないよう改良を重ねた結果、安定したビタミンC誘導体という成分が生み出されたのです。
目次
ビタミンC誘導体とは?
ビタミンCはとても壊れやすく分子量が大きい成分なので、皮膚の上から塗っても浸透は見込めない成分でした。
そこで生み出されたのがビタミンCを誘導体化させたビタミンC誘導体です。
ビタミンC誘導体は分子量を小さくして浸透力が高められただけでなく、皮膚内部でビタミンCに変化するため、効かせたい部分で効かせることが出来るとても有効な成分です。
ビタミンCは水溶性成分ですが、ビタミンC誘導体なら水溶性にも油溶性にもなり、更に両方の性質を持つものも開発に成功しています。
水溶性なら皮膚に吸収されやすいというメリットがありますし、油溶性ならエマルジョン化出来るのでクリーム等に配合しやすくなります。
両方の性質を兼ねたものがステアリン酸アスコビルで、さらに浸透力が高く改良されているので優れた美白効果を発揮出来ます。
有用性の高い成分をなんとかして肌から吸収出来るよう開発されたのがビタミンC誘導体なのです。
ビタミンC誘導体の働きとは?
ビタミンC誘導体は体内に入ってビタミンCとして働くため、ビタミンCの持つ抗酸化作用や黒色化してしまったメラニンを還元して無色化する働きがそのまま期待出来ます。
また、皮脂分泌をコントロールして水分と油分とのバランスを取ってくれる働きもあるので、肌がサラサラしてなめらかになる作用もあります。
前述の通り分子量が小さくなっているので浸透しやすく、真皮のコラーゲン生成にダイレクト働きかけることも出来ます。シミの改善だけでなく、コラーゲンを増やしてシワやたるみを改善出来る期待があるのです。
ビタミンC誘導体が美白成分として日本で使われ始めたのは1980年代です。
化粧品への配合が難しかった成分が一転して最強の美白成分になったわけですから、かなり画期的な進化と言えます。
肌の活性酸素を除去する働き、黒色メラニンを還元する働き、皮脂分泌をコントロールする働き、コラーゲン生成を促進する働きなどがあり、スキンケアにはもはや無くてはならない成分です。
他の成分との相乗効果も高く、併せて配合されることも多い特徴があります。
ビタミンC誘導体のシミへの効果まとめ
メラニンを作らせない、排出させる
ビタミンCの働きとしてシミに特に有効と考えられるのが、メラニンの排出効果です。
メラニン色素はメラノサイトが外部刺激を受けた肌から指令を受けて働き、メラニンを生み出します。
さらにメラニンはチロシナーゼの働きを受けて黒色化し、シミの原因となるのです。
ビタミンCはこのメラノサイトがメラニンを生み出す働きを抑制し、さらにチロシナーゼの働きを抑制することで、メラニンが黒色化するのを防いでくれます。
つまりビタミンC誘導体を取ることで肌の内側でビタミンCとして働き、シミの原因を元から断ってくれると考えられるのです。
活性酸素を還元する
ビタミンCは抗酸化作用が高いことでも知られています。
活性酸素は通常であれば殺菌やカビを撃退してくれますが、増えすぎると正常な細胞を攻撃して肌老化につながります。
シミもできやすくなりますから、還元作用を持つ抗酸化物質を取り、活性酸素を無害化することが大切です。
ビタミンCにはその抗酸化作用があり、特にビタミンEと一緒に取ると効果がアップすると期待できます。
活性酸素を除去する抗酸化物質はたくさんありますが、メラノサイトへの働きかけを持つ美白有効成分を兼ねた成分は少ないのです。
コラーゲンの生成を促す
さらにビタミンCはコラーゲンの生成を促す働きもあります。
コラーゲンは真皮層に網目状に張り巡らされており、肌のハリを保ってくれます。
肌にハリがあると言うことはしわやたるみなどの心配が少ないと言うことですが、コラーゲンは年齢とともに減る物質です。
減っていくと肌の水分量も維持できなくなりますから、乾燥がどんどん進んでいきます。
肌が乾燥するとバリア機能が低下し、外部刺激に弱くなりますから、シミができやすくなります。そこでビタミンCですが、コラーゲンの生成が促されれば、肌のハリも保たれると期待できます。
肌のハリがあれば乾燥知らずの肌になりますから、潤いに満ちたシミ知らずの肌へと近づいていくのです。
皮脂の分泌量を調整する
もう一つビタミンCの働きとして、皮脂の分泌量を調整する役割があります。
皮脂の過剰分泌はニキビにつながりますが、炎症したニキビがシミになると言うことはよくあります。
さらに肌のターンオーバーも乱れやすいのでメラニンの排出が上手くいかないのです。ビタミンCは皮脂の分泌量を調整することでニキビ予防になります。
さらにメラニンの排出作用もありますから、肌のターンオーバーが乱れがちな方にもぴったりと言えるのです。
ビタミンC誘導体の注意点
ビタミンC誘導体自体に副作用はありませんが、毎日取らなければ不足しやすくなる成分です。と言うのもビタミンCは水溶性のビタミンですから、尿とともに排出されてしまいます。
またストレス、喫煙でもビタミンCが使用されますから、日々ストレスを感じている方や喫煙する方は、余計にビタミンCを必要とするのです。
ビタミンC誘導体も日々取ることで、肌の内側で美白効果が発揮されると考えられますので、毎日のケアにビタミンC誘導体を取り入れてみてはいかがでしょうか。
なおビタミンCはL-システイン、ビタミンEと相性がいいので、一緒に使って魅入るといいでしょう。
ビタミンC誘導体が入っているか成分表示でチェック
美白化粧品やスキンケア商品などの成分表をみてもビタミンC誘導体ってそのまま書いてあるわけではないので、ビタミンC誘導体を活用したい時や自分の化粧品にビタミンC誘導体が入っているか確認するときは、成分表示をよく見ましょう。
リン酸アスコルビルMg(マグネシウム)、リン酸アスコルビン酸Na(ナトリウム)、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル(油溶性)、アスコルビン酸-2リン酸-6パルミチン酸
などといった成分表示が書いてあったらビタミンC誘導体が入っているという事です。
新型のビタミンC誘導体APPSがスゴイ
また、進化した高濃度ビタミンC誘導体APPS(アプレシエ)にも注目したいところです。
APPSは水溶性と油溶性の両方の性質を兼ね備え、従来のビタミンC誘導体よりも機能性が高い成分です。APPSは美顔器などを使ってイオン導入する必要がなく、肌に塗るだけで高い浸透力を誇るのが一番の特徴です。
特にコラーゲンの生成に強く働きかけ、シミやくすみの改善にも高い効果があります。
若干従来のビタミンC誘導体より安定性が低いため、粉末状のものを都度溶かして使ったり、直射日光や水、空気に触れないよう注意して冷蔵保管する必要がある点などがデメリットではありますが、肌への効き目から言えばそれくらいは我慢出来るほど高い効果が望めます。
パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(ナトリウム)
APPSの成分表示は上記になります。
パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(ナトリウム)というのが書いてあったらそれはAPPS配合の化粧品って事です。
ビタミンC誘導体は肌の内側でビタミンCに変わって働いてくれます。シミ対策にビタミンの力を取り入れたい方は、ビタミンC誘導体配合の化粧品を選んでみてはいかがでしょうか。